パキタのノート

京都に住む大学生がうんうん唸りながら好き勝手に書いた文章をすっきり流すトイレのような場所です

フェルメール展(大阪)の感想

天王寺大阪市立美術館まで、フェルメール展を見に行った。最終日だった。

フェルメールは昔から好きだったので絶対に見に行くぞと思っていたが、結局行けないまま最終日になってしまって、日曜日だったこともあってすごく人が多くてあまりゆっくりは見られなかった。フェルメールの絵は6点あって、人ごみに酔って疲れてしまいそうだったのでフェルメール以外の人の絵はすこし足早に見るようにしてしまった。

混んでいる美術館は少し落ち着かなくて苦手だと思っていたが、人々の話を聞きながら絵を見るというのは新鮮で面白さもある。同年代の大学生みたいに見える人から60〜70代くらいに見える人までいろいろな人がいた。これは偏見かもしれないが(ネガティブな意図はないが)普段は美術館に来ないような人もフェルメールだからということで見に来ているのかなと感じた。「ベストセラーは普段本を読まない人が読む本のことだ」という言葉を思い出した。誰の、どういう文脈の言葉だったかは忘れた。

 

フェルメール以外の画家の絵の中で、ホーホという人の「人のいる裏庭」という絵に興味を惹かれた。そこに描かれている人々の服装がフェルメールの絵に出てくる人々のそれとかなり似ていたので。同じキャラが別の人の絵に出てきたみたいで面白かった。仲のいい漫画家同士がお互いのキャラを自分の作品に登場させるみたいな。

そのほかにもフェルメールと同時代の、同じように窓のある室内の人物の絵とかがいろいろ展示してあったが、それらと比較したとき構図がばしっと決まっている感じとか画面の明るさと暗さの塩梅とか、そのへんがやはりフェルメールはすごくうまいなと思った。

https://www.osaka-art-museum.jp/sp_evt/vermeer ←美術館のサイトに、今回展示されてた絵のうちフェルメールの絵全部と、ホーホの絵とかがすこし載っていた

 

フェルメールの絵は「マルタとマリアの家のキリスト」、「取り持ち女」「リュート調弦する女」「恋文」「手紙を書く婦人と召使い」「手紙を書く女」の6点だった。

今日なかった絵、とくに「小路」「レースを編む女」「牛乳を注ぐ女」「デルフト眺望」「真珠の耳飾りの少女」「手紙を読む青衣の女」などなどは生で見たいので、またそれらの絵が観れる機会があれば見に行こうと思う。なんだかんだやっぱりフェルメールはできるならば静かな環境で見たいかなと思う。

 

当たり前だが、絵によって大きさがけっこう違った。赤瀬川原平さんが「フェルメールの絵は小さい」と書いていたのでそういう先入観があったのだけど、「マルタと〜」「取り持ち女」はけっこう大きく、「手紙を書く女」とか「リュート調弦する女」とかはかなり小さくて、そういうサイズ感を実際に見れて良かった。

小さい絵の中の小さい人が身につけてる真珠の一粒一粒にちゃんと光が当たっていて、精密だった。全部に画家のはからいが行き届いているように見えた。

それと人の「顔」にはあんまりピントを当てずに少しだけぼんやりさせて、真珠とかグラスとかそういう「物」のほうにピントを当ててるみたいに見える絵が多かったように思った。たとえば「手紙を書く女」とか。

 

有名な絵を美術館で生で見るときにはマチエール?を見るのが醍醐味みたいなところがあると思っているのだけど、フェルメールの場合それは厚塗りではなくて、本で絵を見るときと全く印象が変わる!ということはなかった。

カーテンとか机のうえに置かれた毛布とかの描写がものすごくうまくて、肌触りまで簡単に想像できた。実際本当にこういう色合いのこういう質感の布だったんだろうな…という感じ。ただの布への描写に、ある種の愛着を感じた。

床のタイル模様とかは一筆でさらっと描かれてて、それもよかった。最後のほうの絵と比べると、最初期のキリストの絵は手とかがもっさりしていてちょっと立体感に欠けているように感じられた。どういうふうに絵を練習していってああまでうまくなったのかの過程が知りたくて、スケッチとかそういうのが残ってたら見たかったなと思った。やはりカメラオブスキュラとかを使ったのだろうか。

 

「マルタとマリアの家のキリスト」の絵を見ていたとき、近くにいた大学生くらいの男女が解説を読みながら好き勝手にしゃべっていた。

「お姉ちゃんは働けって言っとるけど妹はキリストの話を聞いて働かんっていうことなんやって」

「居候しとるヒモのバンドマンみたいやな、キリストは宗教のリーダーやし話はうまいんやろうな、お姉ちゃんの手伝いより自分の話を聞いた方がええって言ってるし」

「妹はヒモの言い分を聞いちゃうんやな」

みたいな内容で、キリストをバンドマンに例えるという大それた感じが面白かった。こういうやりとりが聞けるのは大阪の美術館ならではなのかも。